20代中盤でふんばるブログ

銀行員→外資コンサル。旅行が好きです。

2015年の相場、焦点は中国景気。20150706

さて、ギリシャの話題で揺れに揺れていますが、自分は
・ユーロ離脱はしない
日本株は個人の逆張りで結局ある程度戻す
・円安基調は変わらず
と結論を見ているので、ギリシャには触れず、

むしろ年末にかけて米利上げと同じレベルで大問題になってくるであろう中国の景気動向を考えてみます。

 

6日の中国株は4営業日ぶりに反発しました。

過熱して大幅上昇する場面もありましたが、中国当局の連日して打ち出す株価てこ入れ政策によるものです。


現状は過去に前例がない規模の介入状況と言われています。とりあえあず、現状はなんとか株価を持たせてはいますが、結局、政府がやっている事は株を金融機関に買い取らせる下支え、という印象です。


4日には中国の証券会社21社が大型株基金に2兆3700億円を拠出すると表明しました。他にも、新規株式公開(IPO)の停止や空売りを抑制する当局取り組みが続いています。

 

歴史を振り返れば似た政策は1929年のウォールストリートで起こっていました。
29年10月24日に当時の大手米銀5行が資金を集め相場下支えのための対策取り、「暗黒の木曜日」パニック売りから株価を持ち直しました。しかし、翌週の月曜日には直ぐ13%の下落となり、結局3週間でさらに34%の下落を記録。


結局、実態の無い数字のやりくりは、一時的にはうまくいっても表面上のごまかしに過ぎないのです。

 


実態、という意味では中国の第2四半期GDPが来週15日に発表されます。エコノミストの多くは、成長率は7%を切るか否かを分かれ目とみているようです。


年末までの中期で見れば、中国景気が持つか否かが相場の分かれ目になると思いますので、15日の発表には、是非ご注目ください。

2015年7月1日のギリシャ問題への所見。

ギリシャはデフォルトはするがユーロ離脱はしない、というのが7月1日現在の持論です。

ユーロ離脱については、おそらくECBがユーロ離脱はさせないだろうと思っています。体裁上、支援は打ち切りますし厳しいコメントが並んではいますが、EUの前身EEC10番目の加盟国であるギリシャを切る事は、欧州の連帯、安定というユーロの望みを根本から覆す事になりうるからです。
ギリシャはユーロに留まり財政再建すべき、と主張する1人にジム・ロジャースさんという方がいます。ジョージ・ソロス氏とファンドを共同設立し、少し古いですが「冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行」というバイクで世界六大陸を旅しながら投資のチャンスを洞察した興味深い本の著者です。
彼は現在のギリシャ問題を「余興に過ぎない」と述べています(万が一ユーロ離脱するなら大問題、とも述べていますが)。

自分もデフォルトするだろうなーと思いながら、少なくとも日本にとってはそこまで大きな問題に感じていません。
国の規模や距離もそうですが、ユーロ離脱が無ければ、政府間での亀裂は起こっても、陸繋がりの他国と同一通貨圏のままです。そうすれば銀行初めギリシャの弱った企業に他国の民間企業の協力(あるいは買収)が自然に起こり大事には至らない、と思っています。たぶんね。

そういうと先日29日にギリシャ問題のせいで日経平均が600円近い下落を引き起こして大騒ぎしていたじゃないか、というお話になりますが、これはギリシャもありますが中国株下落の問題だと思っています。

さて、ギリシャの今後ですが、今はIMFへの7月1日の返済を「遅延」させている状態です。本格的に「債務不履行」と呼ばれるのは、おそらく引き延ばし引き延ばしにあって14日のサムライ債返済のタイミングかなぁ、と思います。
あと2週間ほど、相場が上がり下がりすることはあるかと思いますが、あまり焦らず、たぶん、ギリシャ問題全体で、これから2週間で日経平均を100円程度引き下げる、くらいな感覚をもって相場を観てゆくといいのではないでしょうか。

日銀と安倍総理と高橋是清と。20150623

今日は日銀の金融緩和政策と高橋是清さんについてお話しします。


「誰?」と思われるかもしれませんが、 大正時代に総理大臣を務め、7度大蔵大臣となりながら1936年に2/26事件で殺害された人です。

 

高橋さんの功績は歴史上の経済政策の中でも最も評価が分かれています。
1931年、各国が世界恐慌に見舞われる中、金本位制を停止して円の価値を下げ輸出を促進、国家収益力を高めました。

また、赤字公債を大量発行し金利を低下させ、景気刺激を行いました。

特に、新規国債を直接日銀に買い入れさせた手法は今でも議論を呼んでいます。

 

 

今の安倍政権の政策と似ていませんか?というか日銀が直接は国債を買っていない点を除けばやっていることはほぼ同じです。

ちなみに今の日銀の国債保有率40%は各国中最大規模(FRBは20%、イングランド銀行は30%がピーク)、2014年10-12月期に日本国債を買い越したのは日銀のみ。

もはや日銀が国債を直接買っていると言っても過言ではない状況ですね。

 

 

さて、高橋是清の政策は無事、景気回復を実現し日本は世界恐慌を脱します。しかしその後、歯止めが利かなくなり、

上昇率10%を超す過度なインフレを引き起こし、

5年で国家予算の4倍以上の借金を積み上げ、

日本は戦争経済へ突入しました。

 

今の安倍さんの政策を高橋是清の政策と「似ている」と言いましたが、安倍首相は高橋是清を「自分を勇気づけてやまない先人」と評しています。

また、前日銀総裁の白川氏は高橋の政策を「苦い経験」と評した反面、黒田総裁は「大きな成果」と語るように、今は政府一丸となって高橋是清の政策を「是」として追っています。

 

高橋是清はインフレの行き過ぎを止めようとしたところ、景気に過熱した軍部によって殺されます。行き過ぎたと思って止めようとしても周りがもう止めさせなかった訳です。


日銀の「2%物価目標」とだけ効くと本当かなぁと思ってしまいますが、こういう過去を見て、現在を見ると2%のインフレというのもより現実味を帯びてきますね。いきなり10%のインフレとなったり、安倍さんがいきなり暗殺される事はないかと思いますが、今後日銀の政策が高橋是清の政策をどう乗り越えていくのか、注目していきたいところです。

ギリシャ問題で日本株が下がってもドル円が動かない理由。20150619

自分はギリシャはデフォルトするものと思っています。

なのでこ数日の支援問題発生や本格的なデフォルト懸念はそこまで意外ではありませんが、ユーロの下落幅が少し気になったので調べました。

むしろこのギリシャ債務不安の中、ユーロはドルに対し6月12日と15日は上昇しています。

実はこの状況は東日本大震災の時に円相場が下がらなかった状況と酷似しています。
ユーロは今は新型の円、と呼ばれ安全資産と目され出しているそうです。


昨日は日経平均が200円以上下げ、19990円と20000円を割れましたが、ドル円相場がいまいち下がらないのはリスクオフ=円買いという構図が変わってきているように思います。


それに加え、EUの中で実はギリシャの重要度が低いことに、だんだん市場が気づいてきたのだと思います。

2月にECBがギリシャ国債の担保受け入れを停止した時はユーロは確り下落しているので、ここまでのギリシャの「なんやかや俺達は助けてもらえる」という姿勢と、EUのなんとなく冷めた雰囲気から、市場もギリシャの存在価値が下がってきていると感じているのではないでしょうか。

実際にEUがどういった判断を下すかは財務的な判断になるとは思いますが、政治的なソフトパワーの判断としてはデフォルトの可能性は高まってきているように感じます。

相場予想。20150616

日経平均株価は本日20,000円に近づくのでは予想します。

昨日は3営業日ぶりに反落20円安い20,387円で終わりました。

先週の125円台と比べると円高傾向に来ているため輸出関連株が不調で、またギリシャ債務問題の実務者協議が芳しく無く地政学リスクが広まった影響です。
下値は硬い状態で、明日のFOMCを控え小幅な値動きは予想されますが、昨日は下値の固さでもったところがありますので、昨日のダウ下落を受けて本日100円以上下げてきても違和感はないと思います。


円相場は午後5時時点では1ドル=123円51~53銭、現在は123円40銭付近です。5・10日にあたり輸入会社の円売り決済はありましたが、黒田総裁の発言で円安傾向がかなり抑えられています。

ギリシャ問題から徐々に円高傾向に来ています。明日のFOMCで市場予想を上回る発言がなければ、今週は地政学リスクでじわじわと120円に近づくのではないでしょうか。


10年債利回りは株安を受けたリスクオフの動きで0.505%に上昇しています。

ギリシャ債務問題で6月中にドル円110円台?20150611

昨日は黒田総裁の円安牽制発言で円高方向に急激に進みました。

安倍への反乱だとか、アメリカの圧力に屈したなどいろいろ言われていますが、確かに株価の現在の高さは今後の成長を織り込んでのもので現在の収益力と比べれば割高ですし、ちょっと行き過ぎている感はあるので、個人的にはむしろちょうどいいかなぁと思っています。


さて、タイトルのお話ですが、ギリシャ債務問題に絡んで、S&Pが昨日、ギリシャの長期ソブリン信用格付1段階引き下げCCCとし、見通しを弱含みとしました。

「CCC」は投機的といえる格付けであり、 今後一年以内のデフォルトの可能性が"高い"と判断したことになります。


昨日、ギリシャ政府は国際債権団の要求するプライマリーバランス黒字目標を受け入れる方針を固めましたが、6月のユーロへの債務履行に対して先日は延長、現在は追加支援を求めるなど資金不足は明確です。

また、S&Pの判断はギリシャが未だ債務返済より国内の支出を優先させていると指摘しています。
ユーロ圏維持のため妥協を重ねてきたユーロ各国もそろそろ本格的な対応に映る可能性もあると思います。

この問題が本格化するのは6月末頃かと思いますが、その頃までの中期スパンで、ギリシャリスクによるドル円110円台が必ず発生すると考えます。

5月米雇用統計とギリシャ問題から見る6月の相場。20150607

さて、日本は5月の米雇用統計が非農業分野で28万人増加と市場予想の22万人を大きく上回った事で、株価は高まりドル高も進むといわゆる好景気にわいています。


雇用統計に触れれば、教育・医療分野で7万4000人増、娯楽・宿泊分野で5万7000人増と個人向けサービスの需要への高まりが感じられた事が大きいですね。今まで、アメリカは企業の業績はいいが個人消費や雇用状態がついてこないという状態が続いていたので、本格的な景気回復の兆に思えます。

 

 

そんな中で今後の市場を大きく騒がしうる「ギリシャ問題」に今日はふれます。

 

実は雇用統計が発表された6月5日同日、ギリシャの危機感も大きく高まりました。
ギリシャが6月5日の3億ユーロを含むIMFへの6月の4回分の債務返済を月末一括払いに先送りすると発表したためです。過去にこれを行ったのはザンビアのみ、ルール的に異例という事では無く決定的な自体という訳ではないですが、綿で首を絞めるようにじわじわとギリシャが追い込まれているように思います。

 

7月と8月にはECBの保有するギリシャ国債67億ユーロも償還期限を迎えますが、当然デフォルトリスクも高まり現在のギリシャ国債価格は下落、利回りは約1%上昇し12%近くになっています。

 

今日のドル高は好調な5月雇用統計ばかりが大きな要因に見えますが、このギリシャ不安→ユーロ安によるドル高も重要な要因になっています。


あまりに地政学リスクによるドル独歩高が進んでくれば、当然雇用統計で湧いた米経済にも重荷となってくることが予想されます。この6月はギリシャにとってもかなり苦しい時期になることが予想されますので、今後の相場はギリシャ動向を視野に入れつつ考えていきましょう。