20代中盤でふんばるブログ

銀行員→外資コンサル。旅行が好きです。

自営業者へ。バランスシートの使い方の基本。

この前、カフェを起業してる友だちと話してたら、指標として損益計算書は使ってもバランスシートは使わない、って話をしてたので、元銀行員として使い方の基本を書こうと思う。

 

 

財務指標の使い方には収益性を見たり、安全性を見たりいろいろあるけど、バランスシートを見てまずわかるのは圧倒的に「経営の安全性」。

 

で、それを細分化して考えると「資本の厚さ」「資産配分の妥当さ」「資金繰りの安定度合」って感じ。

 

 

一つ一つ説明すると、

 

まず「資本の厚さ」ってのは、どれだけ借金無く経営できてるか。借金は少ない方がいい、って意味でこれはわかりやすいね。

卸売業とか、仕入れてから販売するまでの期間の分どうしても借入金が発生するし、新規事業の投資のための借入金もレバレッジの観点から重要だから一概には言えないんだけど、少なくとも同業種と比べて負債項目が多い、てのは大丈夫かなぁ、て感じる一つの指標になる。

 

 

次に「資産配分の妥当さ」ってのは、何にお金を使ってるか。

例えば、メーカーが「土地・建物」にたくさんお金を使ってるのは妥当。工場とか持つわけだから。でも、IT業者が大量に土地持ってたら、ん?何に金使ってるんだ?てなる。

まぁ、土地なんかは万が一の時にちゃんと売れるからいいけど、「有価証券」なんかに大量に金使ってると、「あれ?本業ちゃんとしてます?」て話になる。どっかの株券なんて一瞬で紙くずになるわけだからリスクも大きいしね。

細かく言い出したら子会社への出資金だったり、売掛金の資産価値とかの話にもなってくるからきりもないけど、資産の割合を見るとどこにお金使ってるか、からどの辺に会社のリスクがありそうか、どんな業務にリソースを割いてるのか、てのが見える

 

 

 

で、最後、「資金繰りの安定度合」だけど、これがバランスシートからわかる一番大事な指標。

 

例えば、こんな図があるとする。

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資金繰り悪化で一番わかりやすいのがこの「在庫が増えるパターン」

在庫が増えて現金が減ってますね。数字って嘘つかないから本当にわかりやすい。この表は極端な例としても、在庫が増えてるって状況からは「物が売れなくなってる」ってことことが予想できる。んで、その分、収入は無くなっても仕入とかで支出は発生するので、どんどんお金が無くなって現預金も減ってる、経営悪化の状態にあるんじゃないか、てのが見えるわけです。

 

 

 

次に、売掛金が増えてるパターン」

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これも、現金が減ってますね。これは例えば、「ちょっと今金ないから、今度払うわ。」って客が増えてるパターン。なめられてますね。でも、闇金ウシジマくん見てると、けっこうこれ破産の一大パターンらしいですよ。ようは、お客さんからお金が回収できない管理能力不足になってる懸念が発生してくる、ってわけ。

 

 

 

次は、「買掛金が減ってるパターン」

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 これは売掛金の話の逆。「ちょ、ごめん、今度払うからちょっと待って!」っていう話が誰にも効かなくなってきているパターン。言ってみれば「あいつとは信用の商売をあんまりしたくない」って人が増えてる可能性があるわけです。「あいつからはすぐに金を回収しないとダメだ」と思われちゃってる、信用不安が増大してる可能性が見えるわけですね。

 

 

 

最後に、「借金が増加してるパターン」

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在庫や売掛金が増えて買掛金が減っても、現預金は変わらない、ってこともあります。でも、見てわかる通りその場合は絶対に何かしらの負債項目が増えます。これが典型的な「資金繰りが悪化して首が回らなくなってるパターン」です。最終的には経営権取られたり、法務措置で本業どころじゃなくなります。

 

 

 

以上のように、バランスシートの変化を見るだけで、「物が売れなくなったんじゃないか」とか「信用が下がったんじゃないか」とか経営状態の変化が予測できるわけです。

前向きに新しい仕入先が増えて買掛期間が短くなったり、販売機会確保のために在庫が多くなったりすることもあるので上で書いたことは一概に言えるわけじゃありませんが、

是非お金の管理をしている方は日々の売り上げだけじゃなく「なんでバランスシートが変化したのか」にも気を付けてみてくださいね。

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