日銀と安倍総理と高橋是清と。20150623
今日は日銀の金融緩和政策と高橋是清さんについてお話しします。
「誰?」と思われるかもしれませんが、 大正時代に総理大臣を務め、7度大蔵大臣となりながら1936年に2/26事件で殺害された人です。
高橋さんの功績は歴史上の経済政策の中でも最も評価が分かれています。
1931年、各国が世界恐慌に見舞われる中、金本位制を停止して円の価値を下げ輸出を促進、国家収益力を高めました。
また、赤字公債を大量発行し金利を低下させ、景気刺激を行いました。
特に、新規国債を直接日銀に買い入れさせた手法は今でも議論を呼んでいます。
今の安倍政権の政策と似ていませんか?というか日銀が直接は国債を買っていない点を除けばやっていることはほぼ同じです。
ちなみに今の日銀の国債保有率40%は各国中最大規模(FRBは20%、イングランド銀行は30%がピーク)、2014年10-12月期に日本国債を買い越したのは日銀のみ。
もはや日銀が国債を直接買っていると言っても過言ではない状況ですね。
さて、高橋是清の政策は無事、景気回復を実現し日本は世界恐慌を脱します。しかしその後、歯止めが利かなくなり、
上昇率10%を超す過度なインフレを引き起こし、
5年で国家予算の4倍以上の借金を積み上げ、
日本は戦争経済へ突入しました。
今の安倍さんの政策を高橋是清の政策と「似ている」と言いましたが、安倍首相は高橋是清を「自分を勇気づけてやまない先人」と評しています。
また、前日銀総裁の白川氏は高橋の政策を「苦い経験」と評した反面、黒田総裁は「大きな成果」と語るように、今は政府一丸となって高橋是清の政策を「是」として追っています。
高橋是清はインフレの行き過ぎを止めようとしたところ、景気に過熱した軍部によって殺されます。行き過ぎたと思って止めようとしても周りがもう止めさせなかった訳です。
日銀の「2%物価目標」とだけ効くと本当かなぁと思ってしまいますが、こういう過去を見て、現在を見ると2%のインフレというのもより現実味を帯びてきますね。いきなり10%のインフレとなったり、安倍さんがいきなり暗殺される事はないかと思いますが、今後日銀の政策が高橋是清の政策をどう乗り越えていくのか、注目していきたいところです。